わが国の算数教育は,今日,子供たちの算数嫌いという大きな課題に直面しています。そのうえ,週5日制の完全実施によって,算数の年間授業時間は今まさに減らされかねないといった危機的な状況に陥っています。
先日発表されたIEA(国際教育到達度評価学会)の国際調査でも,日本の小学生の算数嫌いが学年が進むにつれて増えていく実態や,他の国々と比較して算数の学力が下降線をたどっているとさえ思える結果が報告されました。
子どもたちは,受験に必要であるなどといった外的な圧力によって算数に取り組んでおり,現状では諸外国にくらべて成績はそれほど悪くないものの,算数に対して興味や関心をもっている子どもは少なく,真の学力が身に付いているとは言えない状況にあるのです。
本来算数とは創造的な教科であり,そこには美しさ面白さ,活用できる楽しさがあります。しかし,多くの子どもたちにとって算数は,次から次へと与えられる公式や暗記事項をこなし,より多くの計算問題や文章問題を早く正確に解かなければならない学習,といったイメージの教科なのです。
このような現状を打開するためには,子どもたちが真に創造的な算数の学習を行うことができるよう,日々の授業を改善していく他に方法はありません。
ハンズ・オン・マス研究会は,パターン・ブロックやジオ・ボードに代表される優れた学習材を算数の授業に積極的に取り入れ,子どもたちの創造的な学習活動を具現化することを目的につくられた研究会です。
これまでの,いわゆる教えるための道具としての教具とは異なる考え方で学習材をとらえ,その特徴を生かし,子どもたちの操作活動を中心に据えた授業のあり方を,実践を通して開発していくことがこの研究会のねらいです。
算数教育の現状を打開し,21世紀の日本の教室を見据えた算数授業を創造するメンバーの一員として,ぜひとも本研究会にご参加されますよう,お誘い申し上げます。
1998年1月
ハンズ・オン・マス研究会
発起人 坪田 耕三
高橋 昭彦
柳瀬 泰
(当初は「ハンズ・オン・マス研究会」という名称で活動していました。ブログの投稿日は3年ずれています。)